~資産運用立国実現プラン公表を受けて~
2023年12月に「資産運用立国実現プラン」が打ち出され、資産運用業の高度化やアセットオーナーの機能強化が資産運用業界で求められています。
資産運用業に求められる運用手法の高度化については、人材の専門性向上、組織体制·インフラの充実、プライベート資産を含む運用対象資産·運用手法の多様化など、様々な取り組みが考えられます。一義的にはアセットオーナーに対する受託者責任を果たすために、限られた経営資源を如何に配分するかという判断に尽きるものと考えられます。
一方、アセットオーナーにとっては受託者責任の観点から多様な選択肢が存在します。許容可能なリスク水準、運用管理体制、運用資産額などの制約条件のもとで、運用目標の達成のために最も効率的な運営方法を追求することが必要です。但し、欧米の先進的なアセットオーナー並みに資産運用に精通した人材を確保して体制を充実することは一般的には困難であるため、費用対効果を勘案した体制構築やOCIO(アウトソースCIO)の導入といったアウトソーシングの活用などが、状況に応じて必要であると考えます。
外資系を中心としたグローバルプレイヤーがひしめき合う資産運用業界の中で、当社は微々たる存在に過ぎません。活動の余地は限られるかもしれませんが、これまで伝統的資産からヘッジファンドやプライベート資産などのオルタナティブ投資まで多様なアセットクラスに携わってきました。また、ミドル·バックオフィス、運用フロント、年金基金を中心としたコンサルティング営業、国内外PEファンドやロングオンリー·ファンドのデューデリジェンスなど、多岐にわたる実務を経験しました。こうした知見と職務経験を活かして、今後は運用者とアセットオーナー双方の視座を備えて、次世代につながる日本の資産運用ビジネスの発展に貢献する所存です。
注:当サイト内で述べられる一切の意見・情報は、クロスオーバー・アセット・コンサルティング株式会社の代表取締役の個人的なものです。代表取締役が兼務する他社とは関係なく、他社の公式な立場・見解を代弁するものではありません。
代表取締役 井上 朗
コーポレート・ミッション
アセットクラスの枠を超えて資産運用に関する情報·サービスを提供し、金融機関·年金基金·学校法人などのアセットオーナーやCVC/事業会社の運用業務に貢献する
資産運用の世界では、伝統的資産(国内外の債券株式)に加えて、流動性の制約を受けるプライベート資産と呼ばれるオルタナティブ投資へのニーズが高まっています。特に、最近まで「金利のない世界」と言われていた日本では、プライベートデット、インフラ、私募リートなどインカム資産に分類されるプライベート資産への投資を通じて、運用目標に見合ったポートフォリオの構築が見られました。
但し、プライベート資産への投資がアセットオーナーにとって正解か否かは、運用目標、資産規模、規制動向など各々の事情によって変わり得ると考えます。また、プライベート資産を組み入れることで、ポートフォリオのリスク/リターン特性が向上すると一般的には言われますが、投資環境や投資タイミング次第では、短期的には必ずしも期待された効果が期待できない場合もあります。
更に、最近のようにAIの急速な進歩が目まぐるしく生じ、またSNSが広く普及している現状を踏まえると、今後の投資環境は、従来とは異なる値動き、アセットクラス間の相関関係の変化、投資対象市場のマネーフローの変化など、それ以前の投資行動パターンや値動きとは異なる状況が起こり得ると想定します。
将来が見通しにくい要素が絡み合う環境ですが、資産運用の要諦はあくまでも各々のアセットオーナーが自らの投資対象資産の特性を理解して自らの言葉で説明できる範囲で分散投資を図り、中長期的に目標達成に向けたポートフォリオの構築およびメインテナンスを愚直に実践することにあると考えます。
尚、人口減少社会の先進国であると言われる日本で今後経済成長を遂げるために、個々の企業レベルでは生産性の向上と将来の成長機会を見出していくことが不可欠であると考えます。資産運用業は虚業と言われ、事業会社による実業の世界とは相容れない印象を持つこともありますが、事業会社がオープン·イノベーションを実践するのための一つの選択肢として考えらえるVC投資にも貢献したいと考えます。
代表者の略歴
1986年東北大学経済学部を卒業、日本生命保険相互会社に入社。2年間の支社勤務を経て、1988年から国際投資部で外国債券·外国為替バックオフィス業務、外国債券·外貨預金の業務システム開発、海外投資現法の運用評価などに従事
1993年にペンシルバニア大学ウォートン校(MBA)に留学(専攻:ファイナンス、アカウンティング)、1995年修了
留学後、日本生命ニューヨーク現地法人で米国株式アナリスト、米国債券·株式のタクティカル·アロケーション·モデル運用、米国投資適格社債運用を担当。1998年からはAMS推進部にて特別勘定運用部門と投信·投資顧問会社の資産運用機能統合プロジェクトや確定拠出年金制度導入に伴う社内横断的プロジェクトに参画
2000年からニッセイアセットマネジメント株式会社に出向、年金運用商品開発室、外国債券運用室、法人営業部門、投資信託業務部、投資信託営業第2部、資金·外部運用部、ファンド投資部で多岐にわたる業務に従事
2016年にBFCアセットマネジメント株式会社(現マーサー·インベストメンツ株式会社)で私的年金·公的年金の新規開拓を担当、2017年からGIキャピタル·マネジメント株式会社で私的·公的年金や学校法人の新規開拓·既存顧客対応、国内系·外資系年金コンサルタント対応を統括
2023年9月からはフリーランスとして、国内ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業とのネットワークを構築。2024年10月~12月にはハイタレント株式会社の営業顧問としてPEファンドや国内上場金融会社の営業開拓に従事した後、2025年1月にクロスオーバー·アセット·コンサルティング株式会社を設立
2025年8月からはフルライセンスの独立系の証券会社で機関投資家向けに外国籍ファンドを取り扱うTeneo Partners株式会社で契約社員として勤務
【資格等】
・日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
・1種証券外務員登録
